現在住んでいる住宅が老朽化してきた、不満な点が多くなってきた、などの理由から、リフォームではなくて建替え工事の是非を考えた際、やはり気になるのは費用面です。
工事自体が高額になるのはもちろん、そのほかにも諸費用として用意しなければならないものも多く、できるだけ節約したいところですよね。
ここでは建替え工事の一連の過程において、少しでも節約して費用を安くできるポイントをご紹介していきます。
建替え工事にかかる費用にはどのようなものがあるのか
現在住んでいる家屋を新しく建て直す場合、2つの大きな工事が必要となります。1つは旧家屋を取り壊す「解体工事」であり、もう1つは新家屋を建てる「新築工事」。
同一の敷地で建替えるのであれば、新たに土地を購入する必要はありませんが、2つの工事はどちらも大規模なものであるため、その分費用はかさみます。
また、工事費用だけではありません。税金や、各種手続き・申請に使用する印紙代、仮住まいでの生活費や引越しの費用…などなど、挙げれば細かいものもたくさん出てきます。
では、こういった費用をできるだけ安く抑えるためにはどのような方法があるのでしょうか。
建替え工事の費用を安く抑えるための方法
建替え工事の一連の過程では、随所に節約ポイントが点在しています。大きなものから小さなものまで見ていきましょう。
補助金を利用する
全国のほとんどの自治体では、老朽化した古い建物の解体や建替え、省エネ住宅の普及などのために住宅工事に対しての補助金を用意しています。
解体工事、新築工事としてそれぞれ活用できる補助金もあるため、うまく活用できれば大幅な費用節約が期待できるでしょう。
とはいえ、補助金を受け取るための要件や内容は各自治体で大きく異なります。また、補助金の申請は工事の前に行わなければならないため、まずはお住いの自治体に詳細をしっかり問合せして確認することが必要です。
解体工事で利用できる補助金
旧家屋を取り壊す「解体工事」の部分で利用できる補助金には、たとえば次のようなものがあります。
・老朽危険住宅解体補助金
・木造建築物解体補助金
・危険ブロック塀撤去補助金
もともと全国的に増加する「危険空き家」の解体を促すために用意された補助金なのですが、旧家屋がその対象建築物の要件に当てはまるのであれば、利用しない手はありません。
ブロック塀についても、老朽化して地震などで倒壊する恐れのあるものを解体撤去する工事を行う際、補助金が出ることがあります。家屋の建替えにともない、塀や柵なども一新することを考えている場合は、こちらも調べてみるとよいでしょう。
新築工事で利用できる補助金
解体→新築の流れで利用できる補助金には、たとえば、
・木造住宅耐震建替え工事補助金
などのようなものがあります。
1981年以前に建てられた家屋は「旧耐震基準」に基づいているため、現在の建築物よりも耐震性が低いことが多いのです。耐震化については「耐震診断」「耐震改修」に補助金を用意している自治体がほとんどですが、「耐震建替え」の補助金を設けているところもまれにあります。
まずは内容や要件を確認してみましょう。
新築工事で利用できる補助金
建替え工事に限らず、建物を新しく建築する際に利用できる補助金もあります。
・ZEH支援事業…省エネ性の高い住宅を新築する場合に支給される
・地域型住宅グリーン化事業…省エネ性能や耐久性能等に優れた木造住宅を新築する際に支給される
・こどもみらい住宅支援事業…子育て・若者夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を購入する際に支給
など、条件は多少厳しめにはなりますが、当てはまるものがあればどんどん活用していきたいですね。
分離発注をする
建替え工事には「解体」と「新築」の2つの工事が発生するため、一般的なハウスメーカーや工務店が担当するのは後者の新築の部分だけ、という場合が大半です。
すると、解体工事を担当するのはほかの下請け会社や、得意先の業者ということになり、ここに中間マージンが発生してしまうのです。
この中間マージンが、なかなか見過ごせない金額になることもしばしば。だから「分離発注」を検討してみるのも、ひとつの節約ポイントです。新築工事を担当する業者とは別に、解体を専門に行う業者を自分で探して、依頼するのです。
もちろん、新築工事をお願いした業者と一括契約することで、大幅に手間暇を省くことができるのも事実です。
だからこそ分離発注を検討する際には、金銭面と時間のどちらを節約するかをよく考えることが重要といえます。
建替えローンを利用する
「安く抑える」というよりは、費用をどのように捻出していくかという観点のお話になりますが、建替え工事においてはローンをどう使えるかということも知っておくといいでしょう。
現金で一気に支払えるような金額ではないため、ローンをうまく活用することも重要だからです。
現在ある家屋を解体して更地にするだけなら、地方銀行や信用金庫が用意している「空き家解体ローン」を利用できますが、この場合住宅ローンは使うことができません。
しかし建替え工事であれば、旧家屋の解体後に新築工事を行うことになるため、解体工事にかかる部分の費用に関しても住宅ローンに組み込んでくれる銀行があります。
ただ、住宅ローンを使えるのは、旧家屋に対する住宅ローンが完済しているときのみになります。この場合は、新しく住宅ローンを組むという形になるからです。
そのため、旧家屋から新家屋への建替え時にまだ旧家屋の住宅ローンの支払いが残っている場合には、その分も組み込んでしまえる「建替え(住替え)ローン」を利用することになります。
本来であれば、以前の住宅ローンを完済しなければ新しいローンは組めないのですが、建替えローンであれば残債を清算し、新しいローンに上乗せするという方法で返済していけます。
ゴミや不用品は自分で処理する
旧家屋の解体工事を行う際には、当然ながら建物の中は何も残さない状態にする必要があります。
新家屋では使用しない電化製品や家具、片付けや掃除で出たゴミなどは、そのままにしておいても解体工事会社がまとめて処分してくれるのですが、業者が処分する場合「産業廃棄物」の扱いになってしまうため、処分費用が高額になります。
自分で処分すれば一般的な家庭ゴミとして処理できるものが大半なので、その方が安上がりなのです。
少しでも費用を抑えるために、こういった不用品の処分はできるだけ自分の手で行っておきましょう。廃棄物処理センターや大型ゴミ処理場に持ち込む、まだ使えそうなものはリサイクルショップを利用する、などなど。
ただし、手間と面倒はかかるため、時間に余裕があるときでないと難しいことでもあるでしょう。コストのバランスを考えながら、どうしていくかを考えるといいですね。
繁忙期を避ける
解体工事や新築工事には、繁忙期や閑散期が存在します。
また、建替え工事の場合は「旧宅から仮住まいへの引越し」と、「仮住まいから新宅への引越し」で、2回引越しが発生します。引越しにも繁忙期と閑散期が存在するため、これらをもっともいいタイミングで持ってこられるように調整できれば、大きな費用節約につながるでしょう。
工事の繁忙・閑散期については、雪が降る・台風が多いなどの気候風土の違いから一概にいつとは言えませんが、引越しに関しては3~4月、大型連休がある5月、8月は大体料金が高額になります。まずはここを避けられるようなスケジュールを組めるといいですね。
まとめ
「解体工事」と「新築工事」という、2つの大規模工事が必要となる、住居の建替え。費用が高額になりがちであるため、どこにどのような費用がかかるのかを知り、節約のポイントをしっかりおさえておきたいですね。
すべてを実行するのは無理でも、知っていれば効いてくるコツもあるでしょう。費用面でも満足のいく建替え工事にしたいですね。