近年、注目を浴びている「省エネルギー住宅」「エコ住宅」。環境にやさしそう、光熱費を節約できそう、などさまざまなイメージを抱く響きの住まいですが、具体的にどのようなものなのかご存知でしょうか。
現在住んでいる家屋の老朽化にともない、建替えを検討している方なら、新築する際省エネ住宅を視野に入れる可能性もあるでしょう。その際、補助金を受けることができればなお嬉しいですよね。
今回は住宅の建替えに活用できる補助金のなかでも、特に省エネ住宅新築の際に役立つものをご紹介していきます。
住宅の建替えには補助金が出る
「現在住んでいる家屋を、新しく建替えしたい」「老朽化している空き家を所有しており、建替えして新築住宅にしたい」と思いながらも、費用面でなかなか折り合いがつかないということもあるでしょう。
そんなときに頼りになるもののひとつが、自治体などからもらえる補助金です。最近は増え続ける空き家が社会問題ともなっているほどで、全国の多くの自治体で「老朽危険空き家解体補助金」「木造住宅解体補助金」「危険ブロック塀撤去補助金」といったものが用意されています。
また、建替え工事となると「解体工事」だけではなく、その後に「新築工事」も控えていて、より多くの資金が必要となります。その際にもさまざまなタイプの補助金が設けられていますが、今回は新築工事のなかでも「省エネルギー住宅」を建てる際に役立つ補助金にスポットを当てて、紹介していきます。
まずは、いま話題の省エネ住宅とはどのようなものなのかを確認しましょう。
省エネ(エコ)住宅とはどのようなものか
「省エネ住宅」とは、一言でいうと「断熱性や気密性など家の性能を高めることで、冷暖房のエネルギーを抑えることができる住宅」です。
日本国内の「消費エネルギー」は、約3割が暖冷房によるものだといわれていることを踏まえると、よくわかりますね。
家の断熱性や気密性を高めることで効率よく室内の空気の温度を一定に保てるため、冷暖房機の使用を抑えることができ、二酸化炭素の排出量を少なくしたりエネルギーの消費を抑制したりできるのです。
省エネ性能の2つの基準
省エネ住宅の性能基準には、平成28年に設けられた「外皮性能」と「一時エネルギー消費量」という2つがあります。
外皮性能
「外皮」とは、窓や床・外壁・天井など住宅を取り囲む部分のことで、「外皮性能」とは外皮からどれだけ熱を失わずに保てるかということを「断熱」と「日射」の2つの要素で判断した性能をいいます。
地域ごとに設けられている基準値を下回ることが、省エネ住宅には求められます。
一次エネルギー消費量
冷暖房、換気、照明、給湯などのエネルギー消費量を、単位をそろえて合計することによって算出されるのが「一次エネルギー消費量」です。
こちらも、定められた基準値よりもどのくらい低いかで省エネ性を判断されます。
省エネの性能は、この「外皮性能」「一次エネルギー消費量」という2つの基準で判断されることになるのです。
省エネ住宅の例
ZEH
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略です。高断熱で太陽光発電システムなどの省エネ設備を備えた、エネルギー収支ゼロもしくはマイナス(=使うエネルギーと発電するエネルギーがほぼ同じか、発電するエネルギーの方が多い)の住宅です。
家を快適に保つことができるのはもちろん、月々の光熱費を安く抑えられるうえに、売電での収入が期待できる場合もあります。
スマートハウス
スマートハウスとは、IoTを活用して家電などを制御し、エネルギーを最適制御するシステムを持つ住宅です。エネルギーの「見える化」をはかり、賢く効率よく利用することができます。
LCCM
LCCMとは「ライフサイクル・カーボン・マイナス」の略で、住んでいるときだけでなく建設するときから解体するときまで通して、二酸化炭素の排出量を削減し収支をマイナスにすることを目指した住宅です。
省エネ住宅に建替えするときに利用できる補助金
地球温暖化問題への国際的な危機感が高まるなか、国を挙げての省エネ策のひとつとして、省エネ住宅普及のための補助金の設置が挙げられます。
具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ZEH補助金
ZEH住宅を新築したり購入したりした場合に利用できる補助金です。建替え後の家屋がZEH住宅である場合、積極的に活用を検討してみましょう。
この補助金は、さらに細かく3つの事業に分けられます。
ZEH支援事業
ZEH住宅またはZEH+住宅を新築・購入する人が対象で、補助金額は1戸あたりZEHが55万円、ZEH+が100万円となっています。
※「ZEH+」…ZEHのハイグレード版。①さらに高省エネを実現し、②次の3要素のうち2つ以上を備えたものです。
・外皮性能のさらなる強化
・高度エネルギーマネジメント
・電気自動車活用のための充電設備
次世代ZEH+(注文住宅)実証事業
次世代ZEH+住宅を新築する人が対象で、補助金額は1戸あたり100万円です。
※「次世代ZEH+」…ZEH+の要件を満たしたうえで、さらに次の4要素のうち1つ以上を備えたものです。
・蓄電システム(定置型)
・燃料電池
・V2H充電設備(充放電設備)
・太陽熱利用温水システム
次世代HEMS実証事業
次世代ZEH+住宅(次世代HEMSを備えているもの)を新築する人が対象で、補助金額は1戸あたり112万円です。
※「次世代HEMS」…HEMSとは「Home Energy Management System」の略。次世代ZEH+からさらに太陽光発電エネルギーの自家消費を拡大するために、AIやIoTなどによる最適制御を行う仕組みのことです
こどもみらい住宅支援事業
こちらは「若者夫婦世帯」「子育て夫婦世帯」を対象として、省エネ住宅を新築・購入する際に出る補助金です。
「若者夫婦世帯」とは、「申請時点において夫婦であり、夫と妻のどちらかが39歳以下」という夫婦。
「子育て夫婦世帯」とは、「申請時点において、18歳未満の子がいる」という夫婦です。
つまり夫婦が40代、50代で「若者」でなくても、18歳未満の子がいるのであれば、対象者としての要件は満たしていることになるので、お間違いのないように。
また、要件としてさらに「所有者がみずから居住する住宅であること」「一定の省エネ性を有する住宅で、延べ面積が50平方メートル以上であること」というものがあります。
補助額は、住宅の省エネ性によって以下のようになっています。
- ZEH住宅…1戸あたり100万円
- 認定住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素建築物など)…1戸あたり80万円
- 一定の省エネ性を持つ住宅(断熱等級4かつ一次エネ等級4以上)…1戸あたり60万円
地域型住宅グリーン化事業
これは「地域の木材関連事業者、建材流通事業者、中小住宅生産者」などが連携し、省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅を整備するための支援事業で、認定を受けた地域の中小工務店などが省エネ住宅を新築・リフォームした際に出る補助金です。
対象者は「住宅を新築する人」「新築住宅を購入する人」で、要件としてさらに、
- 地域材を活用し、一定の省エネ性能を持つ木造住宅であること
- 国の認定を受けたグループの構成員である企業が建築する住宅であること
というものが挙げられます。
補助金の上限金額は、住宅の種類によって違いがあります。
・長期優良住宅…1戸あたり140万円
・ZEH…1戸あたり140万円
・低炭素住宅…1戸あたり90万円
また、以下の場合は加算額も発生します。
・地域材加算…上限20万円
・三世代同居加算…上限30万円
・若者・子育て世帯加算…上限30万円
・伝統的な建築技術を継承した住宅加算…上限20万円
・バリアフリー等級3以上加算…上限30万円
自治体による補助金
全国の自治体には、解体工事やリフォーム工事に対する補助金だけではなく、新築工事に活用できる補助金を用意しているところもたくさんあります。なかには今回ご紹介した省エネ住宅を対象としたものも数多く見られます。
補助の対象や内容については、自治体によってさまざまです。まずは自分の希望する住宅が要件に合うかどうかを、ホームページや直接の問合せで確認するところから始めてみるとよいでしょう。
まとめ
省エネ住宅の良さが見えてきたでしょうか。もし興味がある、ぜひ省エネ住宅に住みたい、と望まれるなら、ここでご紹介した補助金を積極的に活用して、良いエコライフをお送りくださいね。